水の音、無形の雫

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Hauptharmonie『Kidnapper Blues~人攫いの憂鬱~』の異常性   2016.08.06



 21世紀のJ-POPシーンを牽引すべき存在であるアイドルユニット、Hauptharmonieの名曲『Kidnapper Blues~人攫いの憂鬱~』、皆さんももちろんヘヴィーローテーションナンバーとして毎日ポケモンを探して歩きまわる際のBGMにしていますよね。



 この、アイドルソングとしては明らかに気が触れている楽曲の異常性に関するレビューを探っていたのですが、全く出てこなかったので自分で書きたいと思います。
 まずこの楽曲の立ち位置を明確にしておきましょう。この曲は、7月発売のアルバム『Herz uber Kopf』の2曲目でありますが、1曲目の『BUDDY』がintro的な構成の楽曲であることを踏まえると、実質的にはリードトラックとしての役割を持たされていると考えられます。また、この曲は5月発売の2枚のミニアルバム『bleich』『Abenddaemmerrung』の中の一曲として『yearning』とともに先行リリースされています。このことからも、この曲が「つかみ」の1曲であることは間違いないと思われます。

 さて、上記のように「推し」の一手であるこの曲は、ファンク、ジャズ、スカ、ブルースといった黒人ルーツの音楽の要素に、昭和歌謡を彷彿とさせるポップミュージックの要素も兼ね備えた優れた楽曲でありますが、その一方で、およそアイドルの歌う楽曲としてはきわめて異常な構造になっています。
 まず目を引くのはヴォーカルパートの潔さでしょう。この曲は、歌い出しサビ→Aメロ1→Aメロ2→Bメロ→サビと続いて、サビ後のサックスソロを経て唐突に終わりを迎えます。これ、凡庸な作家ならサックスソロのあともう一発ぐらいサビを入れたくなると思いませんか?
 歌が一番だけであっさりと終わるのは洋楽ではよく見られる構成ですが、邦楽の、それもアイドルの歌う楽曲、いわんや上記で述べたようにリードトラックとしてプロモーションされている一曲としては、やはり特異にうつりますよね。
 もうひとつ、今度は「曲」に注目しますと、いわゆる“前ノリ”の演奏にバスドラムのキックだけ“後ノリ”で入ってくるという、全体的にはアップビートでありながら“裏”が強烈に意識された独特のリズム感を有する非常に難儀な曲に仕上がっています。先述のようにヴォーカルパートが一番だけで終わるこの曲は、サックスソロでのダンスパートが比較的長めに取られており、PVを視聴してもわかるように、明らかに「躍らせる」ことを目的としてつくられています。にも関わらず、この曲は簡単に踊らせてはくれません。オーソドックスな16ビートと難解なシャッフルビート、表ノリと裏ノリが混在する変態的なリズムは、平易な四つ打ちダンスビートに浸かりきったわれわれには難しすぎます。
 とにかく冗長な歌とノリやすいダンスでゴリ押しすればよい、とすら思っていそうな楽曲の多いアイドルソングの中で、この楽曲の構造は異常であるといえます。(というか、リズム感の部分にステータスの振り分けが全くなされていない僕にはそもそも的確に文章化することすら不可能に思えるほどの代物なので、誰かきちんと「翻訳」してくれませんかね……)

 とまあこのように、アイドルソングとしてはきわめて不適切な楽曲でありながら、何よりもそれを当然のように歌い、踊りこなすHauptharmonieのポテンシャルは末恐ろしいものがあります。今後も彼女たちには積極的に音楽に遊んでいただき、アイドルソングの更新を続けてもらいたく思います。

以上。
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Hauptharmonie『Herz uber Kopf』の感想文   2016.08.01



 去る90年代、Jamiroquaiやcorduroyといったアシッドジャズ・ナンバーを流しながらパツキンのチャンネーを乗せてフェアレディZで夕暮れの海岸線を疾走した思い出を持つのは僕だけではないでしょう。
 あの頃の輝かしい思い出が鮮やかに蘇ってくるような、もちろん、当時の僕はまだ小学生でしたので、上記は架空の思い出なのでありますが、そんな架空の思い出が鮮やかに描き出される超クールなバンド、Suchmosをご存知でしょうか。





 Jamiroquaiとcorduroyに育てられたと言っても過言ではない僕の世代にはドンピシャです。声に出して読みたい日本語2016年第1位は「日本人離れしたグルーヴ感」で確定です。
 ちなみに僕は椎名へきると林原めぐみに育てられました。

 さて、2016年はSuchmosだけ聴いていればいいと思っていた僕の前に現れたのがHauptharmonieというアイドルグループです。7月にリリースされたアルバム『Herz uber Kopf』は皆さんもちろん買いましたよね。



 これは散々言われていることですが、現在のポピュラー音楽、とりわけロックシーンにおいてはいわゆる四つ打ちのダンスビートが主流になっています。具体的にはASIAN KUNG-FU GENERATIONが出てきて以降、最近ではキュウソネコカミやKANA-BOON、フレデリックなどがそれです。アイドルにおいても、AKB48やEXILEなど、だいたい売れている人たちはダンスビートに魂を売り渡しています。
 ダンスビートの曲は、単にノリが良いというよりは、ノリの良さを錯覚させてある種の洗脳状態にして強制的に躍らせることに重点が置かれており、確かに何となく盛り上がりたいときには良いかもしれませんが、面白みにはいささか欠けているような気がします。
 そして、ラジオや有線など、そういうちょっと面白みに欠ける四つ打ちロックが大量に流されている中で出てきた貴重な変態ビートがSuchmosでありHauptharmonieなのです。わかりやすい四つ打ちダンスビートと違って“裏”でノルには才能が必要です。Hauptharmonieはアイドル界にとってもJ-POP界にとっても重要な存在です。



 ところで、Hauptharmonieの楽曲はアンチ四つ打ちの捻くれたビートもさることながら、そこに乗っかるヴォーカルがあくまでアイドルポップであるというところにとても面白さを感じます。というのも、現在のアイドルシーンではどうもパンクとかスカとか、そういう既存の楽曲ジャンルに「アイドルポップ」を重ね合わせるのが流行っている印象があり、それがとても面白い現象に感じるのです。
 「重ね合わせる」というのは、ジャンルの「融合」という意味ではありません。「上乗せ」と言ったほうがよいでしょうか、様々なジャンルの楽曲の中にアイドルポップを溶け込ませるのではなく、確固としてアイドルの形を残したままの上乗せ。かけ算ではなくたし算。アイドルの形とは具体的にいえば、きゃぴきゃぴした可愛らしい声とか、ファンが合いの手を入れやすそうな隙間とか、ちょっとだけ下手だったりとか、衣装やダンスなんかも含めて、「いかにもアイドル」といった、そういう部分です。
 そしてそうした現象はどうやらPerfumeがテクノとアイドルポップの組み合わせで成功して以降だという認識で間違いないかと思われますが、例えばBABYMETALにしても、やはりヴォーカルの部分=アイドルの部分は単体で成立している必要があり、それが楽曲の魅力を最大限に引き出すための装置になっていると確信できます。
 ちなみに、メタルとアイドルはとても親和性が高いです。なぜなら、メタルを聴いている人は概ね女の子にモテないしオタクだからです。

■メタル+アイドルポップ=BABYMETAL


■ハウス・ダブステップ+アイドルポップ=ゆくえしれずつれづれ


■パンク・メロコア+アイドルポップ=BiSH


■ラウドロック+アイドルポップ=PassCode


 他にも、ヒップホップ+アイドルのlyrical school、ディスコミュージック+アイドルのEspeciaなど、思えばモーニング娘。から石川さんがいなくなったあたりでアイドルの情報が完全に止まっていた僕にはとても新鮮にうつり、かように現代のアイドルは多様化しているのかと驚いたわけです。というか、モーニング娘。もロックミュージックにアイドルポップを乗せる先駆けだったと言えそうですが、いずれもがやはり、「アイドルであること」さらに突き詰めると「アイドルが歌っていること」から絶対に外れないよう、きわめて慎重にミックスされていることがわかります。
 「アイドルっぽくない」バックトラックと「アイドル然とした」ヴォーカル・コーラスの差異が大きければ大きいほど、つまり違和感が大きいほど、良い悪い・好き嫌いは別にして、明らかに耳に引っかかりやすくはなりますので、上記で挙げたようなアイドルたちは正しい戦略のもとでプロデュースされているといえます。
 例えば、現在世界中のホールを席巻しているBABYMETALですが、これが普通に革ジャン着て直立不動でゴリゴリのメタルソングを歌っていたら、北欧あたりではどうかわかりませんがアメリカや日本では見向きもされなかったでしょうし、逆にあれだけキレキレのダンスとヴォーカルを駆使しても、それこそ四つ打ちダンスビートのAKBみたいな曲を踊っていたら今のような人気は獲得できなかったかもしれません。
 また、個性という点においても、楽曲ジャンルとアイドルであることとの乖離が重要な役割を果たしているといえます。つまり、「アイドルである部分」に関してある程度共通していても、それが乗っかる土台の部分での差別化がより際立つということです。バックトラックに比べてヴォーカルの部分が「アイドル的」ではなく「アイドルそのもの」であることこそが楽曲の個性を際立たせる構造になっているのです。ですので、「融合」ではなくやはり「重ね合わせ」が重要だといえます。

 以上を踏まえた上で、Hauptharmonieのアルバム『Herz uber Kopf』を拝聴しますと、全体的にはスカ、ファンク、ブルースといった“裏ノリ”系の楽曲の合間合間で時おり露骨なアイドルポップソングが姿をあらわす構成になっており、楽曲単位のみならず、アルバム1枚という括りの中で「アイドルっぽくなさ」と「アイドルっぽさ」が両立しています。具体的には、『Kidnapper Blues~人攫いの憂鬱~』のクールさと『パラレルワープ』のポップさが互いをより際立たせるといったかたちです。ラストを飾る『春夏秋冬』と『国王』の流れもわかりやすいかと思います。
 ここまで振り幅の大きい構成はなかなか珍しいのではないでしょうか。1枚のCDの中でジャンルの横断が行われることはままありますが、楽曲同士が互いを刺激し合い補完し合うよう計算されたものはそうそうお目にかかれません。
 というか、色々述べてはきましたが、振り幅の大きさは単純に聴いていて飽きない優れた構成であるといえますし、つまるところ結論としてはアイドル史において永劫に語り継がれるべき名盤だからこんな記事読んでる暇があったらさっさと買って聴け、ということであります。
 なお、『Kidnapper Blues~人攫いの憂鬱~』に関しては個別に色々言いたいことがありますので、気が向いたら何か書くかもしれません。

以上。

ご報告   2014.08.15

テーマ:日記 - ジャンル:アニメ・コミック Tag [C86]

生きてます。

今期は『月刊少女野崎くん』がとても面白いです。
音響監督を松尾衡が担当し、また、数々の松尾衡アニメで演出やコンテを務めてきた山崎みつえが監督に抜擢されています。
松尾衡といえば、『ローゼンメイデン』のヒロイン「真紅」を始め、『RED GARDEN』や『紅』、『革命機ヴァルヴレイヴ』など、「紅(=赤)」をモチーフとしたアニメが非常に多いことで知られています。
ですから、『月刊少女野崎くん』においても、たとえばネクタイの色やリボンの色にとうぜん注目が集まるでしょうし、みこりんこと御子柴君の赤い髪にも興味が尽きません。特にみこりんは、劇中の少女マン画において性別を転換され女の子になるわけですから、とうぜん月に一度「紅いもの」を滴らせるわけです。「月刊少女」とは「月経少女」と読み替えることが可能です。

そうした中、今年もいよいよ夏コミがやってきます。
今回は2サークルに参加していますので、ご報告させて頂きます。


◆1日目

遠征出港ヨーソロー

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日時:8月15日(金)
サークル名:窓際のトナカイはふふりと笑う
配置場所:東C-17a

まず1日目は、艦これ合同誌です。誰が参加してるのかよく知りませんが、表紙のデザインもロゴデザインも編集も本職の人がヤッたとても豪華な本だという話です。
たぶん小説本です。ぼくは艦娘たちがお洒落なキッチンでコーヒーを飲みながらパスタを茹でる話をカキました。
天龍田に雷電、赤城さんと那珂ちゃんが描かれた表紙が目印です。


◆3日目

シンシアニメ。’14



日時:8月17日(日)
サークル名:シンシアニメ
配置場所:東P-21a
http://d.hatena.ne.jp/sincere_anime/20140817

3日目には、今年もシンシアニメが発姦されます。
今回は(今回から)シンシアニメ改め「シンシアニメ。’14」になります。詳しくは上記URLを参照してください。
目次を見て頂ければわかるとおり、誰もアニメの話をしない斬新なアニメ評論誌になっております。
こちらは一切の具体性を排除し何の意味も記号性もない抽象的な表紙が目印です。
今回も先着で陰毛のお渡しがあるようなので、欲しい人はお早めにどうぞ。


なお、ぼく自身は1日目は不参加(代わりにオタクには不必要な筋肉を有する強面のおじさんがいるはずです)、3日目は河合律のエロ同人を探しにイッてるとき以外はブースに寄生しておりますので、お気軽に声をぶっかけてください。よろしくお願いします。
以上。
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